このブログについて

外資系企業についての情報は増えていますが、主に外資のカルチャーや企業文化について解説したものが多く、どうすれば外資系企業に就職・転職できるのかについては、驚くほど情報がないのが現状です。

 また、外資系企業への就職活動は、日系企業を対象にした場合とプロセスや考え方が異なる点が多く、日系企業での経験しかない人には、戸惑うことが多いです。

当ブログでは、主に職務経験があり、英語が「ある程度」話せる日本人に向け、外資系企業に転職する方法について解説します。

 ※外資といっても、アメリカとイギリスの企業についてです。アジアやヨーロッパの企業は、かなり事情が異なると思いますので、ご注意ください。

外資に採用される英語を身に着けるには

「今はまだ無理だが、長期的に英語を身に着けゆくゆくは外資に転職したい」場合、目指すレベルによって取るべきアクションが異なります。

とりあえずTOEICで700点くらい取って、外資だけどガチで英語を使うわけではないポジションに就きたい場合は、今期さえあれば自力での勉強や、英会話スクールへ通うことで実現可能だと思います。

一方、英語会議があったり上司と英語でコミュニケーションするくらいのレベルを目指すのなら、一番簡単な方法はお金を貯めて短期留学することです。簡単じゃないじゃないか、と思うかもしれませんが、自力で勉強したり英会話学校に通ったりしただけでそのレベルに到達できた人を、私は知りません。よほど語学の才能があるとか、素養がある場合を除き、時間ばかりかかってそのうち年齢的にタイムオーバーが来ます。

身もふたもないことを申しますと、外資にいる人の大半は、帰国子女だったり、学生時代数年間留学できるくらい裕福な家庭に生まれた人です。そして一部の人が、社会人になってから自力で貯金し、短期留学で語学を身に着けています。300万円貯めてイギリスに1年行った人、100万円貯めてフィリピン留学した人さまざまです。そしてその短期留学でも、元々得意な人でない限り、「ペラペラ」にはなれないのが現実です。

本気で英語を学び、自分のキャリアに役立てたいと考えている人は、くれぐれも「毎日すこしずつできる」とか「聞くだけで」という言葉に騙されないでほしいと思います。

短期での転職は許されるか

外資は日系企業に比べ、短期での転職がネックになる確率が低いです。外資で働いている人や外国人の職歴を見ると、2~3年での転職は普通にあります。これは、転職があたり前の環境であることと、また事業再編や閉鎖等で、解雇されることも多いからです。

ですが、全ての外資系企業が短期転職を全く気にしないというわけでは当然ありません。面接をする人たちの多くは日本人で、外資勤務とはいえ長い間日本の文化の中で育ってきた人だということを忘れないでください。短期であろうとなかろうと、転職理由は必ず聞かれます。そこできちんと説明できるかどうかがカギとなります。

外資を目指していたところ日系企業の海外事業部を勧められた

「英語を使って国際的な環境で働きたいということであれば、日系企業の海外事業部でも同じことだろう」というのは、転職エージェントの常套文句です。

結局、ご自身が何を求めているかによると思います。英語を使った業務経験が欲しいだけならそれでも結構だと思いますが、海外事業部といっても考え方やいる人は完全に日本企業ですので、異文化としての外資を経験してみたい、という人には、日系企業は正しい選択ではないでしょう。

専門的な職歴がないが外資系企業に転職したい

派遣や契約社員、アシスタント職での入社をおすすめします。全く職歴がないと厳しいかもしれませんが、採用のハードルはぐっと下がります。業務で結果を出せば正社員登用や昇進のチャンスも十分にあります。ただ、これは運に左右される部分も大きいので、まずはそこで経験を積み、次の転職でもう少し上のレベルを目指すことも視野に入れてください。

オファーレター

めでたく内定を勝ち取り、リファラ―チェックも済ませると、オファーレターという書類が送られてくるので、入社を希望する場合、サインして返送します。郵送の場合もありますが、今はPDFで送られてきたものをプリントアウトしてサインし、スキャンして再度PDF化したものを返送、という方法が一般的かと思います。1週間の回答期限が設けられていることが一般的です。

オファーは出たけど、入社すべきか迷っている場合は、オファー面談を設定してもらうことをおすすめします。オファー面談とはその名の通り、オファーが出た後に改めて企業と実施する面談です。

これまでの面談は企業が求職者を審査するものでしたが、この時点では企業側に採用意向があるわけですから、求職者側の聞きたいこと、会いたい人を優先させれば良いのです。非常に忙しい人は難しいかもしれませんが、誰に会うかも自分から希望が出せますし、面接時に福利厚生等について聞きづらかった人は、ここで質問することができます。

面接で会った人数が少なく雰囲気がまだよくわからないという場合は、実際に一緒に働く人たちに来てもらい、話をすると良いのではないでしょうか。

では、もしまだ選考を進めている企業があるにもかかわらず、オファーレターが出たらどうすれば良いのでしょうか?もし、オファーが出た企業が第一候補であれば、迷わずサインして返送すれば良いと思います。オファーレターが出てから内容はほぼ変更不可能なので、仮にこの時点で他からオファーが出ても、給与交渉には使えず、特に引き延ばすメリットがありません。

問題なのは、返答を待っている企業の方が第一候補の場合です。まずは第一候補の企業(のエージェント)に現状を伝え、選考プロセスを早めてもらいましょう。複数回の面接をまとめてもらったり、間隔を縮めてもらうことができる場合があります。

また、オファーが出ている企業(のエージェント)には、回答期限を伸ばしてもらえないか交渉しましょう。担当エージェントにとっては何の特にもならない依頼なので、あの手この手でその会社に決めさせようとするかもしれませんが、人によっては対応してくれます。ただ、期限を延ばすといっても、感覚的にはプラス1週間くらいが現実的かと思います。

注意! 事実関係の確認

外資系企業に応募する人に気を付けていただきたいことは、一般的に外資系企業は日系企業に比べ、事実関係の確認を非常に厳しく行う、ということです。

リファラ―チェックもありますし、源泉徴収票や給与明細など、前職の給与を証明する書類の提出を求められることもあります。企業によっては、なんとこれまでに務めた会社全ての給与明細の提出を求められた、という話も聞いています。面接で嘘を言ったり、年収を「盛る」というのは絶対にやめてください。

もし、残業代や手当に左右され月収が不規則な場合は、「基本給は○円、残業代込で前年総額は○円」というように、誤解が生じないように伝えておくと良いでしょう。

リファラーチェック

幾度かの面接をくぐり抜け、無事内定が出たとします!すると、企業から「リファラ―チェック」を求められます。ここが日本企業勤めの人が一番驚くところなのですが、外資系企業は、応募者の現職・前職の上司や同僚に電話をかけ、その人の業務内容やパフォーマンス、長所・短所について質問するのです。

やり方はいろいろあり、企業の人事が電話する場合もあれば、転職エージェントが代行する場合もあります。日本語でOKなケースが多いです。時間は30分ほどで、事前にリファラ―になってくれそうな人に依頼し電話番号を聞いて、指定の時間に電話をする、という流れです。リファラ―は2名求められることが多いです。

依頼相手は上司が望ましいですが、頼める状況にない場合は同僚でも大丈夫です。特に、日本企業の場合そのような習慣がないので、上司と仲が悪いわけではないがそもそも依頼しづらい…と説明すれば大丈夫です。また、初めての転職の場合はそもそも依頼できる相手が少ないので、1名で大丈夫なこともあります。

リファラ―チェックは選考の最終段階で行われるもので、企業としては応募者が本当に在籍している(いた)か、応募者に問題はないかをチェックしたいだけなので、この結果によって内定が取り消されるという心配はしなくて良いと思いますが、面接での内容とあまりにも食い違っていたり、虚偽の内容を伝えていた場合は当然その危険性もありますので、注意してください。

テスト

筆記/実技テストが実施される場合もあります。私がこれまで受けたことがあるテストは以下の通りです。テストが実施されるかどうかは、企業や職種によるかと思います。これらのテストは基本的に事前対策ができないものなので、出されたらがんばる、としか言いようがありません。エクセルのレポートは、出されそうであれば事前にエクセルを復習しておく、といったことはできるかもしれませんが…。

  • 性格診断テスト(オンライン)
  • 英語のテスト(筆記)
  • 業務に関する知識を確認するためのオリジナルテスト(筆記)
  • エクセルでのレポート作成(実技)
  • ビジネスプラン作成&プレゼン(実技)

服装

日系企業の場合、濃い色のスーツを着ていればとにかくOKなイメージがありますが(本当は違うのかもしれませんが)、外資系企業の場合若干事情が異なります。一律のルールはなく、応募企業に合わせることが重要です。

基本、スーツを着た方が良いのですが、在職中の転職活動の場合そういうわけにもいかないので、ビジネスカジュアルにジャケットを羽織る、というスタイルでもだいたい許されます。

カジュアルな企業の場合、上下スーツを着ていくとものすごく浮いてしまう場合もありますし、ラグジュアリー系企業の場合、「上下地味な黒スーツなんか着ていくと落ちる」と、転職エージェントに注意されたこともあります(笑)。千差万別なので、気になる場合は事前にエージェントに相談した方が良いでしょう。

電話面接

最後に、電話面接について。基本外資系企業は海外に本社がありますから、電話面接が実施される機会が多いです。自分の電話番号を伝え、指定の時間に電話をかけてもらいます。当然のことですが、騒音のない静かな部屋で電話を待つこと、携帯電話を使う場合は電波の良いところを選んでください。

また、向こうからこちらが見えない分手元に書類等を置いて参照することもできますが、紙をめくる音が聞こえないように注意してください。バカバカしいと思うかもしれませんが、緊張しているとそんなところまで気が回らないものです。パソコンで書類を参照する方が安全です。

時差の関係から、アメリカ企業の場合は日本時間の朝、イギリス企業は夜に面接時間を設定されることが多いです。朝の面接は、頭が起きていないので要注意です。面接時間よりずっと早めに起床し、想定問答集や面接対策本の英文を音読しておくくらいの準備をしておいた方が良いと思います。

私は一度これで大失敗しました。自分は朝方だから大丈夫…とたかをくくっていたら、起き抜けの頭+英語面接+相手の表情が見えない電話ということで、とにかく言いたいことが言えず、結果は惨憺たるものでした。苦い思い出です。

英語面接対策

外資系企業への転職で一番気になるのは、英語での面接ではないでしょうか。英語を使う職種であれば、面接での英語力チェックは必ず入ります。

よくあるのは、初回の人事(もしくは部門長)面接はたいてい日本人なので、「ちょっと一旦英語で話していいですか」と言われ、一つか二つの質問に対して英語で回答させられ、2次以降の面接で本社のネイティブスピーカーと電話で会話、というものです。また、オフィスにネイティブスピーカーがいる場合は、初回からガッチリ英語面接、ということもあります。

では、英語面接にはどう対策すれば良いのでしょうか?まずは、想定問答集の英語版を用意することです。「これは英語で何と言うんだっけ?」というのを、事前につぶしておきましょう。

また、面接用の英会話教材を使って、よく出てくる表現を頭に入れておくことも気晴らしになります。私は『面接の英語』を流し読みし、使えそうな表現はマークしていました。

いくら知識を付けても、結局最後は度胸というか、いかに緊張せず会話ができるかだと思います。ネイティブスピーカーと仕事やキャリアの話をする訓練をするには、外資系転職エージェントを活用することをおすすめします。特に、普段英語で話す機会が少ない人は、3人くらいと上記トレーニングを繰り返せば、なんとなくいける気がするのではないでしょうか。

想定問答集

面接に挑むには必ず、想定質問とそれに対する回答を用意してください。想定質問集は、基本的に転職エージェントを使えばもらえますし、ウェブサイトにもよく掲載されています。回答を用意するといっても、きれいな文章をまとめる必要はなく、「こういうことを聞かれたらどう答えるかな」と考える程度で良いのです。

面接で一番避けたいのは、そんなこと聞かれるとは思わなかった!と頭が真っ白になり、満足いかない回答をしてしまうことです。後からもっと良い回答を思いつき、「こう答えればよかった…」と後悔するのは非常にもったいないことです。

また、想定質問・回答集を用意しておけば、過去の業績について尋ねられたとき、具体的な数値を交えて回答することができるというメリットがあります。資料をあたらないと思い出せないようなことも、事前に確認しておいた方が好ましいでしょう。

もし可能であれば、想定問答集を転職エージェントや、信頼できる人に見てもらってください。自分だけではわからない点が必ずあります。「志望動機に具体性が乏しい」「なぜその会社でなければならないかが不明瞭」というツッコミが必ず入ります。人に見られるのは恥ずかしいものですが、チェックを入れない限り、本番で、面接官がそう感じてしまうことになるのです。

これは当然のことですが、本番で紙を見ながら回答するのは絶対に避けてください(笑)。

事前調査

面接に行くことになったら、企業の調査をしてください。企業ウェブサイトやソーシャルメディアはもちろん、企業名でGoogleニュース検索をし最新のニュースをチェックしておくことをおすすめします。タイムリーな話題があれば、面接で話をふって、企業に関心があることを示せます。

実店舗がある場合は、店舗へ行って、商品やサービスを手に取ってみることをおすすめします。ネットだけではわからない情報が必ずあるものです。客を装って、店員さんに質問してみましょう。面接で、店舗の良いところや課題、それが自分が目指すポジションとどう関わるかを話すことができます。

面接官は、自社のことをよく知らないまま応募してきた人をとにかく嫌がります。逆に、よく調べてから面接に臨むと、非常に喜ばれます。面接官も、応募者が他の企業へも応募していることくらい知っています。その企業のサービス・業務に本当に関心があり、きちんと準備してきてくれているのかを知りたいのです。

面接回数と期間

めでたく書類選考に通ったら、面接です。外資系企業の面接は少なくて全2回から、多くて全5回(!)と、日系企業に比べ多めなのが特徴です。

また、面接の間隔も開くことが多く、面接後、2週間程放置されることもありますし、結果、初回面接から採用通知が出るまで、数ヶ月かかってしまうこともあります。まずはそのことを頭に置いて、心配しすぎないようにしてください。(もちろん早く進む場合もあり、すぐに二次面接に呼ばれ全2週間で結果が出る、ということもあります。)

さらに辛いケースは、日本支社は採用の意向があるにもかかわらず、本社の稟議が下りない場合です。グローバルの売り上げ減により採用にストップがかかってしまうこともありますし、単に本社の事務処理が後回しにされているだけ、ということもあります。下手すると数ヶ月塩漬けということもあります。

このように、外資系企業への転職には時間がかかるので、1社決め打ちではなく、複数社との案件を平行して進めることをお勧めします。

採用プロセスに時間がかかると、どうしても焦ってしまうものです。また、日系企業しか知らない家族・友人等からは、「まだ決まらないのか」「大丈夫なのか」と、心配なのか邪魔しているのかわからない(笑)意見が出ると思いますが、聞き流すのが一番だと思います。外資転職経験がある人とは、「本当にちゃんと転職活動しようと思ったら、半年はかかるよね」という話が通じます。

ただ、もし書類通過率が悪いとか、初回面接でつまづいてしまうなど、選考プロセスのどこかがネックになっているようなら、付き合いのある転職エージェントの中で信頼できそうな人に相談してみた方が良いと思います。書類の作り方が悪いのかもしれないし、面接で悪い印象を与えてしまっているのかもしれません。

くれぐれも、素人ではなくエージェント、中でも経験がありそうな人に相談してください。

カバーレター

外資転職の特徴として、カバーレターの存在が挙げられます。カバーレターとは、CV等応募書類を送付する際の挨拶状のようなもので、自分がなぜその企業に興味があるのか、自分のウリは何なのか等をそこでアピールします。通常、エージェントを介する場合は不要です。最近増えている、企業ウェブサイトから直接応募を求められる場合や、LinkedIn経由での応募に必要なケースがあります。

ただし、カバーレターについては、私はアドバイスできる立場にありません。なぜなら、カバーレターを付けた書類選考には、ことごとく落ちているからです(笑)。

原因ははっきりしないのですが、一応事前にネイティブチェックを入れているので、英語がおかしいということもなかったはずなのです。カバーレター添付が必要な求人はウェブサイト・LinkedIn応募なので、そもそも応募が多かったり、競争率が激しかった可能性はあります。

途中から面倒になり、カバーレター記入フォームがあるにも関わらず空にして応募したら、書類選考に通るようになりました。もしかすると、日本採用ではそもそもカバーレターなど不要であり、単に書類の枚数を増やしただけなので、弾かれていたのかもしれません。

CV, 履歴書, 職務経歴書

日本で外資系企業を狙った転職活動を行う場合、CV(Curriculum Vitae, 英文履歴書)・日本語履歴書・日本語の職務経歴書の、三点セットを用意してください。通常、CVには連絡先など個人の情報と学歴・職歴と職務内容を記載します。日本語の履歴書は誰しも作成したことがあると思います。日本の履歴書は記載できる情報量が少ないので、日本語の職務経歴書で補うイメージです。

CVを作成する際は、日本語で作成した職務経歴を英訳するということは避けた方が良いです。英語と日本語ではそもそも考え方や重要なポイントが異なるため、多少難しくても、英語の書類は最初から英語で考えて作成することが望ましいです。

ここにCVの例を掲載できれば良いのですが、自分のものを掲載するのは嫌ですし、他所から引っ張ってくるわけにもいかないので、サンプルが載っているおすすめの書籍をご紹介します。『日本人のためのMBAエッセイインタビューキャリア対策 第2版』です。

なぜ急にMBA?と思われる人もいらっしゃるかもしれません。MBA(経営学修士)では応募者の職務経歴も選考の要素となるため、CVを提出するのです。私は今まで様々な書籍やガイドでCVの作り方を調べましたが、本書にある作成法がベストだと思います。

自分の職務上で成し遂げたことを列挙し、それを短縮して、単なる業務内容ではなくachievementのリストとする、という方法は目からウロコでした。中古で買っても5000円くらいする高価な本なのですが、それで自分の転職活動がうまく行くのであれば、安い買い物ではないでしょうか。

もう一冊おすすめ書籍として、『グーグル、アップル、マイクロソフトに就職する方法』を挙げます。こちらはCVの書き方だけでなく、アメリカのテック系企業がどのような考えのもとに人材採用をするのかが示されており、非常に参考になる書籍です。

また、転職活動を始めるとよく目にするようになるのですが、CVには入れるべき「パワー英単語」があります。achieve, conduct, improveなど、何かを「成し遂げた」感を出すための英単語です。上記書籍にも記載されていますし、転職エージェントのアクシアムのウェブサイトからも確認できます。

CVの作成にあたり、最後にネイティブチェックは必ず入れてください。知人に頼める人がいないなら、有料のサービスを利用してでもネイティブチェックを入れることをお勧めします。私たち求職者側からすると、ノンネイティブだから多少のミスや不自然さは大目に見てほしいところですが、企業からすると、応募者が何人であれ、公式な応募書類です。自分の実力ではなく、そんなところで落とされるのはもったいないと思います。

また、CVネイティブスピーカーに添削してもらうと、自分の英語能力を詐称することになるのではないか?実際の業務に過剰な期待をされるのではないか?と思うかもしれません。

私もその点が不安だったため、ネイティブスピーカーで、人を雇う立場にある知人数人に質問したことがあります。彼らの意見は、やはり添削は頼んだ方が良いというものでした。なぜなら、雇用者側は応募書類の添削は誰しもやることだと理解しているし、逆にそれをやっていないと、不完全な書類で応募してきたことになるからマイナスである、ということでした。

日本語の履歴書・職務経歴書作成法は、リクルートエージェントのコンサルティングを受けるなら、そこでガイドがもらえます。日本語の書類作成については、リクルートエージェントの言うことを聞いておけば良いかと思います。(英語CVは、担当者によると思います…。)

応募書類には、嘘は絶対に書かないでください。日本企業応募時には見逃されがち(?)な、「現年収を盛る」「短い職歴を隠す」もNGです。外資系企業の事実関係の確認は厳しく、後でバレ可能性があります。これについては後述します。

注意! 転職エージェントを使わない企業

一点気を付けないといけないのは、企業によっては転職エージェントを一切使わず、直接応募の求職者しか受け付けない場合があるということです。おそらく紹介料をけちっているわけではなく、自力で案件を探してくるような意欲の高い人を求めているということだと思います。

ですから、複数の転職エージェントに登録したからといって、今市場に出ている案件全体をカバーできているとは思わない方が良いです。特に関心の高い企業があるなら、企業のウェブサイトで確認をするのが一番です。もちろん、転職エージェントは自分の案件で決めてほしいですから、こういったことは教えてくれません。

転職エージェントとの付き合い方

転職エージェントの利用を検討する場合、まずはウェブサイトを見て問合せし、エージェントから訪問を促されるのが一般的な流れです。ここでの問題は、複数のエージェントを利用する場合、全部に訪問するのは手間がかかるということです。特に在職中に転職活動をする場合、退社後の時間を使ってエージェントを回るのは大変です。

そこで、私は訪問ではなく、電話相談にしてもらうようにしています。「仕事が忙しいので…」という理由で、平日の午後7~8時頃に電話をしてもらうよう依頼するのです。これまで、この依頼に応じてくれなかったエージェントはありません。電話相談の場合、移動や服装に気を遣う必要がないので、負担感がぐっと減ります。

ただし、場合によっては対面で面談をした方が良いケースもあります。

ひとつは、初めての転職で不安で、いろいろと相談したい場合。電話ですとどうしても要件を素早く済ませるという雰囲気になってしまいますし、相手の表情もわかりませんので、対面での面談で、聞きたい事は全部聞くことをお勧めします。

もうひとつは、ずばり英会話の練習をしたい場合です。ある程度英会話ができる人でも、自己紹介や仕事の説明、自分のキャリアプランについての説明は練習が必要なものです。外資系の転職エージェントと話していると自然とそういった会話の練習になります。

最期にもう一つ。転職エージェントのウェブサイトは情報の宝庫です。求人情報はもちろん、書類の作り方や面接対策などが掲載されています。ぜひじっくり読み込んで活用してください。

どの転職エージェントを選ぶか

転職活動を始めようとしている人が一番迷うのは、「どの転職エージェントを選べば良いのか」ではないでしょうか。特に外資に狙いを定めて転職活動をする場合は、外資に特化したエージェントでないといけない気がするかもしれませんが、私は複数種のエージェントをミックスで使うことをおすすめします。それぞれに長所・短所があり、受けられるサービスが異なるからです。


①日系大手エージェント―リクルートエージェント

外資への転職活動を始めるにあたり、まず登録をおすすめするのが、リクルートエージェントです。理由は、国内最大手の圧倒的な案件数です。日系企業ばかりじゃないの?というイメージがあるかもしれませんが、意外に外資案件を豊富に持っています。転職活動では、いかに自分に合った案件を見つけるかが大切なので、まずはここで案件数を稼ぐことをおすすめします。

また、サービスも日々進歩を遂げており、コンサルタントとの初回面談後に問題がなかったか、後日マネージャから確認が入ったり、ポータルサイト上で案件応募や管理ができたりと、かなり使い勝手が良いです。

何より私が気に入っているのは、コンサルティングの質です。応募先企業の傾向について教えてもらうことができ、また面接での回答内容をメール上で添削してもらい、そのレベルも非常に高かったです。

ただし、コンサルティングについては担当コンサルタントの質に大きく左右されるので、常にハイレベルのサービスを提供しているかは微妙です。私は2度お世話になったことがありますが、1度めの担当者は正直そこまで、という感じでした。求職者の職務レベルに合わせて、コンサルタントのレベルも変えているのかもしれません。


②日系中小エージェント・外資&MBA特化型―アクシアム

次は、外資系企業への転職と、MBAホルダーの転職に特化したエージェント、アクシアムです。この会社の特徴は、その時の転職のみでなく、全体的なキャリアプランニングについてアドバイスしてくれるところです。

キャリアビルディングには、どのようなタイプがあるのか?マネジメントを任せてもらえる年齢のリミットは?シニアレベルになると、転職方法はどう変わるのか?等、他では誰も教えてくれないようなアドバイスをもらえます。

また、(おそらく)少数精鋭で運営しているため、コンサルティングの質にそこまでバラツキがありません。日系企業とは異なり、外資ではどのような点が重視されるか等、経験豊富なコンサルタントに相談できます。

ネックはやはり案件数です。新規案件が毎週ザクザクでてくる感じではないので、案件数は他で補う必要があるかと思います。

※一応外資・MBAに特化しているとはいえ、実は日系企業の案件も複数持っています。


③外資系大手エージェント―ロバートウォルターズ

外資系を目指す人なら、一度は名前を聞いたことがあるのではないでしょうか?国内外資系エージェント最大手の、ロバートウォルターズです。後述するWahl & Caseもそうですが、基本的に外資系のエージェントは、求職者に担当が付くのではなく、案件(企業)に対して担当者が付きます。よって、登録すると違う人から続々とメールが来ます。

基本的に彼らの営業スタイルは肉食系です。ガンガン営業し、応募させ、自分の案件で決めさせる。そうしないと、歩合給が稼げないからです。○ヶ月中に売り上げ○円達成しないとクビ、という厳しい世界のようです。

ですから、彼らが電話を掛けまくってきても、自分の案件をゴリ押ししてきても、そういうものなのでしょうがないです。あまりに迷惑なら、怒ってもいいと思いますが。

案件数確保におすすめします。


④外資系中小エージェント・業界特化型―Wahl & Case
外資系エージェントにも、業界特化型がいくつかあります。ここでご紹介するWahl & Case (ウォルアンドケースと読みます)は、ファッション・ラグジュアリー業界に特化しています。業界特化型だけあって、面接前のアドバイスはかなり参考になります。

こちらも、上述したアクシアム同様、業界特化型だからといってファッション案件しかないというわけではなく、他業界の案件も多数あります。彼らもビジネスですから、専門の業界だけに絞っていても立ち行けないのだと思います。

転職エージェントとは?

外資系企業への転職活動をする際、転職エージェント(リクルーター、ヘッドハンター)の活用は欠かせません。その理由は、非公開求人があることと、自分ひとりでの情報収集にはどうしても限界があるからです。

非公開求人がある理由は、全ての応募には対応していられないので、エージェント側である程度選別して人を集めたいという企業の都合があります。ですが、人材不足といわれている昨今、エージェントを使っていても、自社ウェブサイトにその求人情報を出している(公開している)ケースもたくさんあります。転職エージェントの利用は、企業側にとっても求職者側にとっても、人材獲得や情報収集の間口を広げるという意味合いの方が強いように思います。

ちなみにご存知ない方のために説明すると、彼らのビジネスモデルは、紹介した求職者が入社した場合、企業から求職者の年収の30%をもらうというものです。求職者側に支払いが発生することはありません。

LinkedIn

外資系企業に興味を持ち、転職活動を始めてみたいと思った人は、何から始めれば良いのでしょうか?今すぐ転職活動を始めたい、3ヶ月後には内定を得たいという場合はすぐに転職エージェントに連絡をした方が良いのですが、もう少し長期的に考えている場合は、ぜひLinkedInに登録することをおすすめします。

念のため説明すると、LinkedInとはビジネスに特化した、FacebookようなSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)です。海外での利用は盛んで、全世界に3億人以上のユーザーがいると言われていますが、日本での利用者は非常に少なく、ほぼ外資勤めの人しか登録していないのが現状です。

この「外資系の人しか登録していない」というのがミソで、それゆえに外資系の求人や転職に特化したメディアとなっているのです。LinkedInに登録するメリットは大きく3つあります。

  1. 外資系の転職エージェントや、企業の人事から求人紹介が来る
  2. LinkedInを通して直接求人に応募できる
  3. 他人のプロフィールを閲覧できる

1.がずばり、一番のメリットだと思います。LinkedInに登録し自分のプロフィールを公開していると、転職エージェントや、ときには企業の採用担当者から求人情報が届きます。ただし、そうなるためには、プロフィール上で英語ができることがわかるようにしておく必要があります。

プロフィールは、日本語と英語両方のバージョンを作成し、TOEIC等英語のテストを受けたことがあるなら、点数を記載してください。また、職歴があまりない人も、スカウトは受けづらいと思います。

「スカウト」と書きましたが、エージェントや採用担当は、あくまで応募者の網を広げようとしているだけであって、向こう連絡が来たからといって採用確率が高いというわけではないことにご注意ください。

英語を使って業務ができる人材は足りていないので、似たようなプロフィールの人に、一律に声を掛けて回っているだけです。ですから、先方からのコンタクトであってもこちらからの応募であっても、同じくらい書類選考や面接の準備は必要ということです。


「2.LinkedInを通して直接求人に応募できる」ですが、これは意外と知られていない機能です。LinkedInのメニューに”Jobs”をクリックすると、求人を検索する検索窓や、おすすめの求人が出てきます。

LinkedInのおすすめ求人機能は、単純に業界で絞っているだけで、正直あまり優れているとはいえないので、ご自分で検索してみてください。業種・職種にもよりますが、かなりの数の求人が出てくると思います。気になるものがあれば保存したり、画面から直接応募もできます。応募はワンクリックであまりにも簡単なので、CV等必要書類を添付し忘れないよう、ご注意ください。

これらの求人応募機能は、当然ながら他の人には見えないようになっています。


最後に、「3. 他人のプロフィールを閲覧できる」について。これは1. 2. に比べると大したメリットではないですが、他人の職歴って気になりませんか?特に始めて外資系企業への転職活動をする場合、この会社に勤めている人の前職は何だったのかとか、海外留学していたのかとか、なんとなく雰囲気を掴みたいことがあるのではないかと思います。また、面接前に面接担当者の名前を教えてもらえた場合は、LinkedInで下調べをすることができます。

ちなみに、LinkedInでは他人のプロフィールを閲覧すると、そのことが本人にわかる(足あとが付く)ようになっていますので、相手に知られたくない場合は注意してください。


LinkedInの活用法、プロフィールを魅力的にする方法等はネット上にたくさん情報があるので、興味がある方は調べてみてください。また、有料版であるLinkedIn premiumについて、一度試したことはあるのですが、そこまで有用である印象は受けませんでした。普通に転職活動をするためでしたら、無料版で十分だと思います。

外資系企業の悪いところ

次に、外資系企業で働くことのデメリットを挙げてみます。

  1. 事業撤退・解雇のリスク
  2. 異文化とのコミュニケーションストレス
  3. システムや業務フロー変更に時間がかかる

1. はずばり、事業撤退・解雇のリスクです。外資では簡単に解雇されるという印象があるかもしれませんが、余程パフォーマンスが悪かったり、モラル的に問題があったり、会社の経営状態が悪くない限り、個別の社員が解雇されることはそんなにありません。日本支社で働いている限り、日本の法律で守られていますしね。

それより割とよくあるのは、事業撤退・縮小により、支社自体がなくなってしまうことです。もしくは支社は存続していても、部署が無くなるというケースもあります。これは、頭でわかっているつもりでも、実際に自分の身に起こってみないと実感がわきません。

外資を渡り歩いている人は割とこういった種類の解雇に遭遇していることが多く、下手すると事業撤退で転職した先がまた撤退、ということも十分にあり得ます。

運が悪いと言えばそれまでですが、採用担当によっては「将来性のない事業(部門)を見抜けない人材」という印象を持つ人もいますので、なるべく連続して事業撤退に遭遇するのは避けた方が良い、というのが個人的な意見です。そうでなくても、経済的・精神的に何度も解雇されるのは負担が大きいでしょう。

では、どうすれば事業撤退に遭遇するリスクを軽減できるのでしょうか?上場企業の場合は企業のウェブサイトにIR情報が掲載されているので、それを見ると良いと思います。

ただ、普段そういった情報を読みなれていない人には難しいので、知人に詳しい人がいたら確認をお願いするとか、それもだめならせめて株価の推移だけでもチェックし(Googleで”社名”+”stock”と検索すればグラフが出てきます)、大きな変化があった場合はニュースを検索して原因を調べておくくらいはしておいた方が良いと思います。

また、撤退とまではいかなくとも、組織再編で全く組織構造が変わってしまったとか、上司が総入れ替わり、ということもあり得ます。いずれにせよ、一般的に外資は安定した環境で長く働く場所ではないので(もちろん例外は多数あります)、常にCVをアップデートし、何かあったらすぐに転職できる状態にしておく必要があります。


次に、2. 異文化とのコミュニケーションストレスについてです。自分とは異なる文化を持つ同僚と仕事をすることになるので、阿吽の呼吸、空気を読む、ということは期待できません。すべて口頭かメールで明確に指示する必要があります。また、指示したこと以外を、気を利かせてやってくれるということも期待できません。

また、完成度に対するレベルの違いもあります。日本の場合、「完成」というと全くミスのない100%の最終版という認識ですが、海外では必ずしもそうでなく、日本人の感覚だとミスだらけでまともに外に出せないようなものを納品されることもよくあります。

もちろん相手に悪気は無く、「完成」に対する認識が違うだけなのです。こういった場合に感情的になったり、仕事倫理を説いたりしても意味がないので、淡々と修正依頼を上げるしかありません。

また、日本人の間では説明しなくてもわかるようなことも、逐一説明する必要があります。「これが普通だよね」という感覚が通用しないのです。

少々無理な喩えをすると、近年面白おかしく取り上げられる「ゆとり社員」の行動でしょうか。取引先へのお詫びに持っていく菓子に、アルフォートを買ってきた、等。これは、日本社会ではアウトかもしれませんが、外資で働く場合は買ってくる内容を指示しなかった上司が悪いのです。

異文化コミュニケーションというと、グローバルでかっこよく、フレンドリーなイメージを持つかもしれませんが、仕事となると、自分が意識すらしなかったことを逐一言語化し説明する作業の連続となります。これを面白いと思える人もいれば、そうでない人もいます。

特に、日本社会においてコミュニケーション能力が高いと評価されてきた人は、すなわち「空気を読む」式のコミュニケーションスタイルに適応性が高いということなので、逆に外資でストレスを感じやすいというケースもあります。


最後に、「3. システムや業務フロー変更に時間がかかる」についてです。外資といえば意思決定も実行もスピーディというイメージがあるかもしれません。それは間違ってはいないのですが、ことシステムや業務フローとなると、非常に時間がかかります。理由は3つあります。

一つ目は、日本に支社を持つような外資系企業は大企業であることが多いので、全社的に影響があるような変更には時間がかかること。まあ、これは日本企業でも同じですね。

二つ目は、大きな意思決定をするのが本社であることが多く、日本支社の意見を通すのが簡単ではない、ということです。そもそも、日本で問題となっていることが、本社では問題とは認識されていない、という場合もあります。重要度が低いとされた問題は、放置され続けます。

最期に三つ目は、エンジニアが無理をしない。そもそもシステム改修というものは、予期しない問題発生や仕様変更の連続です。日本の場合、そういったことが起こっても最期にはエンジニアが死にもの狂いで仕上げる、ということをしますが、海外の場合はその分だけ普通に延期します。

明確に期日が示されていないプロジェクトの場合はあまり期待しない方が良いので、それが実施されない前提で自分の仕事を進めた方が良いですし、仮に期日が設定されていても、あまり信用しないことをおすすめします。


なんだか、良いところより悪いところの方が長くなってしまいましたが、別に外資が悪いところだというわけではなく、単に説明が詳しくなってしまっただけです。

外資系企業の良いところ

私がなぜ外資系企業で働くことを選んだかというと、

  1. 仕事の進め方が合理的だから
  2. 労働時間が短いから
  3. 給与が比較的良いから

の3点を挙げます。その中でも、1. 仕事の進め方が合理的だから の比重が高く、80%くらいを占めています。私は元々理屈っぽい質なので、いわゆる古い日本企業の年功序列、先輩・後輩、コネ、根性論、等々の考え方が性に合わず、日本企業で働き続けることは無理だろうと考えていました。

日本の文化としてそういった考え方があるのは理解できるのですが、私個人の文化と全く相容れないのです。そこで、まずは日本企業で専門的な業務経験を積みつつ、英語を勉強し、外資系企業に転職するという計画を立てました。

本当は外資に移っても何も変わらないのではないか、結局、社会の厳しさに目を背け、外資という「ここではないどこか」に憧れているだけなのではないか、という懸念がずっとありましたが、いざ転職してみると、それは杞憂に終わりました。合理性を重んじる職場環境がこんなに快適なものとはと驚き、また、自分に合わない文化に身を置くことがどれほどストレスだったのか改めて実感しました。

2. の労働時間についてですが、これが外資だから全ての会社で全く残業がないということではなく、傾向として、日本企業のように長時間の残業が常態化することはあまりないという程度です。

考え方として、長時間残業しているから「がんばっているね」と評価されるのではなく、逆に「要領が悪いのか」「仕事が遅いのか」と捉えられます。ですが当然忙しい時は残業をしますし、海外との電話会議のために、業務時間外に働かなければならないこともあります。

また、業種によっても労働時間は異なり、一般的に投資銀行やコンサルティング会社等は長時間の激務と言われていますし、それ以外の業種でも、スタートアップ等で勤務時間が長い企業はあります。

ただ、企業側もすぐに辞められては困るので、残業が多い場合それを隠すことはあまりありません。残業が多い場合は、企業側から大丈夫か聞かれることもありますし、何も言われなければ、終盤の面接で、それとなく社員が何時頃までいるのか、と聞いてみるのも手だと思います。

3. の給与については、前述したので割愛します。

給与

外資系といえば、若くして年俸一千万円をイメージする人がいるかと思いますが、それは「外資系金融」あるいは「外資系コンサル」の話です。それ以外の企業は、外資だからといってべらぼうに高い給与をもらっているわけではありません。同じ業種の日系企業よりは、少し高いくらいです。

これは、外資で採用されるのは、基本的に英語で業務が遂行できる人材であるということと、日本に支社を出している企業である時点で、ある程度の大企業であるということが関係していると思います。

また、外資系企業の給与体系で特徴的なところは、スタッフレベルとマネジメント層の給与の開きが大きいことです。日系企業の場合、給与は年功序列でじわじわと上がっていくものですが、外資の場合そもそも仕事ができる人しか昇進できないので、役職が上がると給与もポンと上がります。

それなのに(建前上)組織はフラットですから、年俸が2ケタ違う人が、普通に隣のデスクで働いていたりもします。日本人から見ると不思議な光景です。

年齢と経験

これは本当に場合によりけりかもしれませんが、一般的に日本企業では若い人が好まれ、30歳を過ぎると、書類審査の通過率が下がるとも言われるようです。理由としては、他社での癖がついておらず、体力があり、従順である、といったことが挙げられるかと思います。

では、外資系企業の場合はどうなのでしょうか?私の経験では、逆のケースが多かったです。転職エージェントや企業との面談で、「もっとシニアな人を求めている」と何度が言われたことがあります。ここで注意しなければいけないのは、シニア = 業務経験が長いということで、お年寄りという意味ではない、ということです。

私の感覚ですと、ざっくり実務経験5年未満をジュニアレベル、それ以上がシニアレベルのスタッフ、といったところでしょうか。これは業界によっても異なるかと思います。社員の在籍期間が長い会社では、もっと長いスパンであるかもしれません。

中途採用の場合スキルベースで人を雇うので、ポテンシャルや若さを重視した採用は、あまりない印象を受けます。(もちろん例外はあり、外資でも「若い人が欲しい」とはっきり言われたこともありますが。)

よく日本企業で評価される、従順であること、素直であることは、外資ではあまり評価されないと考えておいた方が良いでしょう。もちろん、自分の過ちを素直に認め他人から学ぶという意味での素直さは大きな価値ですが、いわゆる「やる気ならあります」「何でもやります」「御社に骨を埋めます」といった素直さは、外資でアピールするには少しずれています。

アピールすべきは、企業が求めている職務・人物像にいかに自分がマッチしていて、自分を採用することでいかに企業にメリットがあるかです。なぜその企業は自分を雇うべきかということを説明し説得する、という姿勢が重要です。

英語力

非帰国子女・長期留学未経験者が外資系企業に転職しようと考えたとき、一番の懸念が英語力かと思います。外資で働いている人は皆ネイティブスピーカー並みの流暢なビジネス英語を使いこなし、多少英会話ができる程度の人間は鼻で笑われるのではないか。私もそう思っていたのですが、転職活動を始めて拍子抜けしました。

転職活動を始めた頃、募集要項に「TOEIC600点以上」記載された外資系企業の求人票を見つけました。正直、TOEIC600点レベルでは業務を英語でこなすことは、かなり難しいと思われます。そう転職エージェントにお伝えしたところ、事実そうなのですが、「英語ができるビジネスパーソン」の需要に対して供給が全く追いついておらず、「英語にアレルギーがなければOK」などという求人がざらにあるようなのです。

少し話が逸れますが、就職後の話をすると、もちろん海外長期滞在者でネイティブスピーカー並に英語が話せる人は多くいますが、同時に全く話せない人もいます。

また、語学力と同時に「論理力」「異文化コミュニケーション力」が実務では非常に重要です。論理力とはそのまま、自分の考えを論理立て、わかりやすく説明する能力です。これが欠けていると、アメリカに5年住んでいても、10年住んでいても、同僚やビジネスパートナーにとっては、何を言っているのかわかりません。そもそも、日本語でも意味不明です。語学以前の問題ですね…。

「異文化コミュニケーション力」は、二種類に分類できると私は考えています。ひとつは「欧米的な考え方を理解する能力」、もしくは「自分と異なる文化に同化しないが拒否しない」態度。両者は、異文化に対する全く異なったアプローチ方法です。

「欧米的な考え方を理解する能力」とは、欧米的な理性・論理、効率性重視する考え方を理解できる、ということです。対極にあるのが日本的な情や根回し、根性論でしょうか。これはある程度頭で理解可能なものだと思います。

次に「自分と異なる文化に同化しないが拒否しない」態度について。人間は、驚くほどこれができないというのが、私の実感です。日本人とアメリカ人は、几帳面さや物事の評価の仕方、表現の仕方など、多くの面において国民性が真逆だ…とよく思いますが、それを現実として受け止め(流して?)、ともかくどうやれば目の前の問題が片付くか…と考える力です。

これができないと、欧米人の上司に対して、「自分はこんなに残業してがんばっているのに理解してくれない」と恨みを募らせたり、逆にアメリカ人が日本のオペレーションに、アメリカの「ベストプラクティス」を押し付けたりすることになります。

「異文化理解」については、『異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』という書籍が素晴らしく参考になります。外国の文化を知ることで、自国の文化も相対的に見ることができます。非常におすすめの書籍です。

また、英語でもOKであれば、”The Geography of Thought: How Asians and Westerners Think Differently...and Why”
も面白いです。こちらは『異文化理解力』よりもう少しアカデミックな内容ですが、読むと理解が深まります。実際に欧米人の上司に説明するときに、この書籍を引用したこともあります。

話がかなり逸れましたが、英語力について具体的な話をしますと、実務で使う分にはTOEIC800点程度がボーダーになる気がします。もちろん、テストの点だけが高い人やその逆もいるので、一概には言えませんが、そのレベルの人であれば、スムーズではなくても英語でなんとか要望を伝えられたり、表現を調べながらでも、英文でメールが書けるギリギリのラインだと思います。

また、英会話が必須な場合は、必ずネイティブスピーカーがインタビューに入るので、最終的にはテストの点でなく、会話で判定されます。